バラ農家が仕事でつかう用語一覧(あいうえお順)
あ | アンモニア態窒素 NH4-N | 基準値5mgまで・乾燥土100gあたり アンモニア態窒素は、微生物により硝酸態窒素に分解されて植物に吸収されます。 アンモニア態窒素+硝酸態窒素=無機態窒素 水には流出しにくい性質があります。 |
い | 硫黄華 | (いおうか) 土壌には、pHを下げるために用いられます。硫黄分を含む温泉の噴き出し口にも存在し、硫黄の蒸気が冷えて粉末になったもの。 |
EC | ECとは電気伝導度のこと。塩類濃度や根の濃度障害の目安となる指標。 基準値0.3ms/cm・乾燥土100gあたり 本来、電気の流れやすさを示す係数ですが、農業では肥料や塩分の濃度をはかる指標となります。 人間におきかえると、血圧にあたります。 肥料や塩分が多く含まれているとECは高くなります。一般的に0.5以上だと肥料がかなり残っている、と判断し施肥を控えめにします。 肥料や塩分が少ないと、ECは低くなります。 適切な施肥を行っていると、適切なECが保たれます。 | |
え | 塩基飽和度 | 基準値82.0% 塩基飽和度は、胃袋にたとえると満腹度合いを示します。 CEC(+イオン交換容量)に、どのくらいの割合で交換性+イオン(塩基)が保持されているか示す度合い。塩基飽和度が80%を超えると人間と同じメタボ気味、100%を超えると胃袋は土壌溶液の濃度が濃くなり、根に障害が発生する可能性があります。 |
か | K飽和度 | 基準値6%/乾燥土100gあたり カリウム飽和度 カリウムという養分(=塩基)が、CECにどの程度詰まっているかを示す尺度。 「えぐみ」と相関関係があり、K飽和度が高いとえぐみが高くなります。 カリウムとマグネシウム、カリウムとカルシウムは拮抗するので、カリウムが過剰だとマグネシウム欠乏やカルシウムの吸収阻害が生じやすくなります。 |
Ca飽和度 | 基準値60%/乾燥土100gあたり カルシウム飽和度 カルシウムという養分(=塩基)が、CECにどの程度詰まっているかを示す尺度。 カルシウムは、カリウムが過剰な土では吸収が阻害される。 | |
Ca/Mg比 | 基準値2.6~4.5 石灰・苦土比 石灰を苦土で割った数値を当量の比で現します。※1 | |
く | 苦土炭カル | |
こ | 交換性カリ | 基準値74.5mg/乾燥土100gあたり |
交換性苦土 | 基準値85.0mg/乾燥土100gあたり | |
交換性石灰 | 基準値443.4mg/乾燥土100gあたり
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し | CEC | 基準値20.0me・乾燥土100gあたり 別名「保肥力」「陽イオン交換容量」「塩基置換容量」 Cation Exchage Capacityの略。 CECはよく、胃袋の大きさとおきかえて説明されます。 土壌に養分を与えたとき、もし土壌が養分を貯蓄できないなら、雨が降るたびに、養分がすべて地下へ流れてしまいます。ところが実際には、そのようなことはおきません。それは、土壌のなかに、養分を貯蓄できる成分が存在するからです。この、土壌中の養分を蓄えられる容量をCECと言います。 CECが大きいと、胃袋が大きいのと同様、たくさんの肥料を蓄えることができるため、施肥の効果が長続きします。根が濃度障害を起こす危険性は低く、持続的に養分を吸収することができます。 CECが小さいと、少量の肥料しか蓄えることができません。過剰に養分を与えると、根が濃度障害を受けやすくなります。こまめに追肥するようにしなければなりません。 CECを超えて肥料を与えても、土壌は蓄えることができずに、雨などで流出し、土壌が汚れます。 過剰な施肥により流出した肥料は地下水を汚染し地球環境破壊の一因となっています。 CECを決めるのは、粘土鉱物と腐植の量です。粘土鉱物と腐植は、-の電気を帯びているため、+イオンを引き付ける力をもっています。窒素、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの肥料は水にとけると+イオンを帯び、-イオンに荷電した粘土鉱物や腐食に引き付けられ、雨がふっても流出しにくくなります。 粘土鉱物や腐食を土壌に投入しても、CECが高まるまでに長い年月が必要です。短期的にCECを高めたい場合は、堆肥と腐植質を投入します。ゼオライトの施用もよいでしょう。 |
硝酸態窒素 NO3-N | 基準値5mgまで/乾燥土100gあたり 畑作物が吸収しやすい無機態窒素のひとつ。硝酸態窒素が多く含まれていると、ECも高くなります。 陰イオンのため水とともに流出しやすく、地下水汚染にもつながります。 アンモニア態窒素+硝酸態窒素=無機態窒素 | |
消石灰 | ||
た | 炭カル | |
ち | 窒素循環 | 生物の死骸や糞尿など→(微生物による分解、以下同様)→アンモニア態窒素→亜硝酸態窒素→硝酸態窒素→窒素ガスなどに循環する |
て | 鉄 | 基準値0.8%~ |
と | 土壌改良剤 | 土壌改良剤とは、農林水産省 地力増進法で定められている次の12種類の資材をさします。 1. 泥炭 2. バークたい肥 3. 腐植酸質資材 4. 木炭 5. けいそう土焼成粒 6. ゼオライト 7. バーミキュライト 8. パーライト 9. ベントナイト 10.VA菌根菌資材 11.ポリエチレンイミン系資材 12.ポリビニルアルコール系資材 これらの資材を製造・流通させる場合には、ルールにのっとって表示を行う義務があります。 |
ね | 粘土鉱物 | 堆積物を構成する個体で微小な土壌粒子。-イオンを帯びており、+イオンを引き付ける。 カオリナイト、スメクタイト、ハロイサイト、モンモリロナイト、セリサイト、イライト、グローコナイト、クロライト、タルク、ゼオライトなど。 |
ふ | 腐植 | 腐植含量の標準値 3~7% 腐植とは、土の中の有機物が微生物により分解される途中のもの、もしくは、分解されずに残ったもの。堆積物を構成する個体で微小な土壌粒子。 <腐植の役割> 1 養分の貯蔵 2 団粒構造の形成 3 陽イオン交換容量(CEC)の拡大=保肥力の強化 |
ぺ | pH | ペーハー(pH)は、0~14までの数字で表示される、酸性~アルカリ性の程度のこと。 -------------------------------------- 0 ← 7 → 14 酸性 ← → アルカリ性 ホウ素欠乏 マンガン過剰 マンガン欠乏 -------------------------------------- 植物によって、よく育つpH値は決まっています。 人間に置き換えると、pH値は体温のようなものです。 酸性に傾くと、リン酸の吸収が阻害されます。 アルカリ性に傾くと、鉄・マグネシウムなどミネラルの吸収が阻害されます。 どちらにせよ、病気にかかりやすくなります。 薔薇は、6.5前後の弱酸性を好みます。 よって薔薇を育てるには、薔薇の根のまわりの物質(土やロックウールなど)のpHを6.5に整え、かつ、保つ必要があります。薔薇を植える前に測定したpHが6.5よりアルカリ性の場合には、酸性の物質を加えることにより6.5に近づけます。逆に、6.5より酸性の場合には、アルカリ性の物質を加えます。 pHを下げる→硫黄華 pHを上げる→石灰資材(炭カル・苦土炭カル・消石灰) 雨が降ると、土壌中の可溶成分が下層へ溶脱するため、放置しておくと土壌は酸性化へすすみます。 |
ほ | ホウ素 | 基準値0.8~2mg/kg |
ま | Mg/K比 | 基準値2.6~8.7 苦土を加里で割った数値で当量の比で現します。※1 |
Mg飽和度 | 基準値16%/乾燥土100gあたり マグネシウムという養分(=塩基)が、CECにどの程度詰まっているかを示す尺度。 | |
マンガン | 基準値4~8mg/kg | |
む | ||
無機態窒素 | 無機態窒素とは、有機態窒素が分解されて、植物が吸収できる形状になった窒素成分のこと。アンモニア態窒素+硝酸態窒素。 自然界に存在する有機物が微生物によって分解され、無機態窒素になる。 | |
ゆ | 有機JAS規格 | 有機農産物生産の原則 農業の自然循環機能の維持増進を図るため、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り提言した栽培管理方法を採用した圃場において生産されること。 生産の方法についての基準 「有機農産物」とは、堆肥の投入などで土づくりを行い、果樹などの多年性作物は収穫の前3年以上(水稲や野菜などの一年生作物は種まき又は植え付けの前2年以上)、禁止された農薬や化学肥料を使用していない田畑で、栽培期間中も基本的に禁止された農薬や化学肥料を使用しないで栽培されたものであること。 |
有機質肥料 | 反対語:無機質肥料 有機質肥料は、鶏・豚・牛・馬などの家畜の排せつ物を利用してつくられた肥料のこと。 メリット:微量要素を含む デメリット:土壌中で、微生物により分解され、無機質に変化してからでないと植物が吸収利用できないため、効くまでに時間がかかる。 | |
有効態窒素 | 基準値3mg/乾燥土100gあたり 人間におきかえるとたんぱく質の摂取量にあたります。 作物が吸収できる窒素量のことです。アンモニア態窒素、硝酸態窒素が多い場合には、窒素肥料を控えなければなりません。 | |
有効態リン酸 | 基準値20~50mg/乾燥土100gあたり 作物に利用されやすい状態のリン酸のこと。 土の若さ。人間におきかえると「年齢」にあたります。 耕作歴の短い土ほど、有効態リン酸は少なく、リン酸肥料や、堆肥の施肥で、高まります。 | |
り | リン酸吸収係数 | リン酸吸収係数は、乾土100gに対し、吸収固定されるリン酸の量をmgでしめしたもの。 リン酸を施肥すると、土壌中でアルミニウム・鉄・カルシウムと結びつき、水に溶けにくい難溶性のリン酸に変わり、バラが吸収しにくくなります。 また、pHが低くなった場合にも、活性アルミニウムが溶け出しリン酸が固定され、バラが吸収しにくくなります。 このようなことから、リン酸の施肥量を算出するには、リン酸が固定される割合を把握する必要があります。 |
出典:
生井兵治、相馬暁、植松信義(農業科学基礎、農文協2002)