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隣地に迷惑をかけずに、またかけられずに、バラを無農薬栽培することは可能ですか?
また、借地でもバラの無農薬栽培は可能ですか?
隣地とのトラブル事例/枝のはみだし
「近所の田んぼで、バラを育てていらした方がいらっしゃいました。私のところでは、区画整理された田んぼが多く隣り合わせの田んぼの畔を共有します。バラの枝が畔に張り出して歩けないと苦情がでました。どのような工夫が必要ですか?」
バラの多くは棘がありますので、バラに興味のない方にとっては、やっかいな植物でしかありません。
また、畔は、水田の作業上、機械や人間が頻繁に通行するための重要な通路です。
苦情がでたら、すぐに、畔に張り出している部分の枝を剪定し、通行幅を確保します。その後、できるだけ早いタイミングで、問題になているバラを堀上げて、ご迷惑をかけない場所へ移動します。
そもそも、バラは品種ごとに「樹形」が決まっています。樹形とは横幅×高さです。高く伸びるバラは、自立することができません。支柱やアーチを設置し、長く伸びた枝を誘引しなくてはなりません。
バラを植える前に、樹形を調べ、隣地に枝が届かない位置に植えましょう。
隣地とのトラブル事例/根のはみだし
バラの根は、バラの枝の長さと同じ長さ~1.5倍程度の長さがあります。
地上部分で枝が1.5メートル延びていた場合、根は1.5~2.5メートルほど伸びている場合もあります。
法律で、隣地から自分の土地に延びてきた地下部分は切ってよいことになっています。
ですから、隣地の方が、隣地に侵入した部分の根を切断されても文句は言えません。
バラは生育期に根を切断されると樹勢が弱ります。
隣地の持ち主の方にご迷惑をおかけすることのないよう、バラは隣地ぎりぎりに植えることは避け、
樹形を調べたうえで、余裕をもって内側に植えるようにしましょう。
隣地とのトラブル事例/隣地で農薬を散布しているとき
「隣り合わせの田んぼで、周りが水稲をされている場合、農薬散布もされます。
風で流れることもありますが、影響が出たりしませんか?
耕作放棄地は沢山ありますが、逆に隣接する田んぼも沢山あるのです」
理想は、隣地で農薬を散布していない場所を探すことです。
しかしながら、2023年現在、有機栽培農家は全体の 0.5%しかいません。
地域一体が無農薬農業を行っている場所を探すのは困難でしょう。
そこで、広大な耕作放棄地を借り、農薬を使用している隣地と、距離をとって食用バラを栽培する方法と、
農薬の影響が出ないように物理的に防除する方法をおすすめします。
農薬の影響がでないようにする物理的防除法では、隣地との間に壁をつくります。
壁とは言っても、目の細かいネットで壁をつくります。食用バラは通気性が必須ですので、コンクリートなどで壁をつくると病害虫が発生しやすくなります。
ネットの壁は2メートル以上あれば安心です。
特に、隣地で農薬を空中散布する場合は、できるだけ高いネットと、隣地から離してバラを植えるようにします。
借地のトラブル/バラを植えていた借地をお返しするとき
「バラを育てていましたが、その後、後継者がなく田んぼに戻そうとしたとき、バラの根の除去が大変だったそうです。
どんな工夫が必要ですか?」
バラを植えていた場所を水田やほかの農作物に転換する場合の手順は、
1 バラを堀上げて移設する。または処分する。
2 掘り上げた後、耕運する
バラを掘り上げる際は、株元 直径1.2メートル程度の円形に掘るようにすれば、バラの主根のほとんどは除去できます。
細根は、耕運により細断され土に還りやすくなります。
借地をお借りしてから お返しするまで、常に除草を心がけること、また折り目節目にご挨拶を欠かさなければ、大きなトラブルには伸展しにくいでしょう。まとめ。隣地とのトラブルを起こさずに、また借地でも円満にバラを無農薬で栽培できるか?
薔薇は永年性作物です。
植え替えはバラにとってストレスになりますから、数十年間同じ場所で無農薬栽培するためには、植える前の事前準備が大切です。
1 土壌はバラに適しているかどうか
2 気象(日当たり・気温・降水量)はバラにあっているか
3 害獣はでないか
といった、一般的な栽培条件以外に
4 地主さんや隣地の方との関係は良好か
5 周囲は農薬散布しているか
も調べてから植えるようにしましょう。
今回のご質問は「M」さまからいただきました。無農薬バラ栽培についてご質問がありましたら、お気軽にお寄せください♪
バラの学校では、
本業や副業として取り組む個人様法人様にむけた食用バラ教育プログラムをご用意しています。
解説:中井 友實榮 ナカイローズファーム 株式会社バラの学校 代表取締役 農林水産省 農業女子プロジェクトメンバー 2011年東日本大震災をきっかけに食用バラの露地栽培をスタート。 食用バラの普及を通じて心と体を健康にし、社会貢献をめざしています。 |